| 透視度計 |
目盛りのついた透明の筒状容器の底に標識板(二重十字)入れたものです.それに入れられた試験水を上から覗き込み,底から試験水を排出して容器の底にある標識板の二重十字が明確に識別できるときの水の深さを透視度といいます.透視度計は手作りでも作成できます.
透視度は,濁りにより光をさえぎる指標および川の底に土砂が沈殿する指標になります.その他に,家庭雑排水が主な水源の川は,有機性の固形物の汚れと溶解している汚れが主体なので,有機性の固形物の汚れの指標とすることができると考えられます.
| ヨウ素デンプン反応 |
でんぷん水溶液にヨウ素を含む溶液を加えると水溶液は青変します.この反応をヨウ素でんぷん反応といいます.市販されているヨウ素を含む溶液としてはヨードチンキが挙げられます.また,でんぷんは,家庭の汚水に含まれている有機物の一種ですから,でんぷんが水中に含まれているかどうかを簡単に判別できます.
| 簡易水質測定試薬 |
水の中に含まれている成分を分析するには専門的な知識と技術(化学薬品の取り扱いなど)が必要ですが、水質分析にとくに詳しくなくても簡易に測定できる器材・試薬が販売されています。パックテスト(株式会社共立理化学研究所)は測定項目(CODやアンモニアなど)も豊富で小学生でも扱えます。
| 凝集剤 |
水中に浮遊しているにごりの成分の大きさが100分の1mm以上なら,沈殿させることで水をきれいにすることができます.しかし,0.001〜1μm範囲のにごり(粒子)やコロイドに対しては化学薬品を用いて,沈澱処理できるまでの大きさまで粒子を大きく成長(凝集)させて水中から取り除く方法があります.そのときに加えられる化学薬品を凝集剤と呼び,浄水場でよく使われている代表的なものに硫酸バンド(硫酸アルミニウム)があります.
| クリプトスポリジウム |
水を通して起こる微生物による病気のことを水系感染症といいます。水系感染症で近年騒がれているのはクリプトスポリジウムとジアルジアによる感染症です。いずれも動物の腸管系に寄生する原虫です。日本の多くの水源地で検出されています。水や食物から感染し、腹痛を伴う下痢をおこします。1996年6月に埼玉県で水道水を介して約8,800人がクリプトスポルジウムによる集団下痢をおこしました。クリプトスポリジウムは浄水工程の塩素消毒に強いため、対策として小さな原虫でも取り除くことができる「ろ過操作」が必要となります。また、煮沸によっても殺すことができます。一方、ジアルジアはクリプトスポリジウムに比べて塩素消毒に弱いです。
| 活性汚泥 |
下水処理場では、汚水を微生物の働きによって浄化しています。汚水と微生物(細菌、原生生物など)の集合体である活性汚泥とを混ぜ合わせ、空気を送り込んで反応させると、汚水に含まれた有機物などが微生物によって分解され、二酸化炭素と水に変化します。ただし、微生物自身も増えてしまうので、適宜取り除いて処分する必要があります(余剰汚泥の処分)。
| 指標生物 |
生物の中には、生息地などの環境条件が変わるとそれに敏感に反応し、個体の数が増えたり、あるいは減ってしまう種がいます。このような生物は指標生物と呼ばれ、それを観察することで、その生物が生息できる環境の変化を総合的に知ることができます。pHなどの理化学的な指標は、水を取ったそのときの水質しかわかりませんが、生物であれば、ある期間の水質・水環境の変化の総合的な履歴を知ることになります。
| 富栄養化 |
外部からの栄養塩類(窒素やリンなど)の流入や植物プランクトン等の生産が繰り返されることなどによって、水が淀みやすい水域(閉鎖性水域)の栄養塩類濃度が増加していく現象を富栄養化といいます。本来は数百〜数千年かかるこの現象が、近年では生活排水や堆肥などが流れ込むことによって急激に加速されています。富栄養化になると植物プランクトンが異常繁殖し、赤潮やアオコが発生します。これが進むと、植物プランクトンの呼吸や微生物による分解によって水中の溶存酸素が不足し、魚類や底生生物が死滅したり、悪臭を放つようになり、水環境の悪化が深刻になります。
| 赤潮 |
微小な植物プランクトン(藻類)が著しく増殖し、水が赤褐色などの色になる現象をいいます。赤潮は、主に窒
素・リンなどの流入による富栄養化が原因となって発生します。赤潮の発生は、魚介類の大量死をもたらし、漁業に多くの
被害を与えます。赤潮の代表的な植物プランクトンは藍藻類です。赤潮による海洋汚染は毎年数十件確認されています。
| アオコ |
湖沼や河川で植物プランクトンが富栄養化により異常増殖し、水面が緑色のペンキで覆われたように見える現象。アオコの代表的な植物プランクトンは藍藻類です。アオコが発生すると利水や景観の他、水産資源に悪影響を与えます。藍藻類等の中には、有毒物質やカビ臭物質を放出する種もいます。